しがない神経内科医の勉強部屋

だらだらと読む論文を書きためています。 勉強することが多い神経内科の勉強部屋的な。 エビデンスレベルC 弱く推奨程度 Twitter @shiganeurology

Clinical Presentation, Investigation Findings, and Treatment Outcomes of Spontaneous Intracranial Hypotension Syndrome A Systematic Review and Meta-analysis
JAMA Neurology March 2021 Volume 78, Number 3

背景
特発性低髄液圧症候群(spontaneous intracranial hypotension (SIH) )は体位により変化する頭痛で、特発性髄液ろう、and/or低髄圧によっておこる。SIHはしばしば誤診、みのがされる疾患で、毎年5/10万人に発症、くも膜下出血の半数程度の頻度である。SIHのメカニズムは明らかでなく、診断基準も変化していることが、様々な誤解を招いている。本研究では過去20年に報告されたevidenceをまとめる。

方法 systematic review and meta-analysis
PubMed/MEDLINE, Embase, and Cochraneに掲載された論文を検索
外傷や医原性の2次性低髄圧は除外。混合性はinclude。

結果
144論文( retrospective 90, prospective 21, unclear 33)
平均42.5歳(2-88) 女性63%
 SIHtable

いくつかの著者によって、結合組織病、脊椎疾患、肥満手術がリスクになると指摘していた。
97%で頭痛があり、起立性頭痛が一般的だった。しかし3%では頭痛はなかった。SIHfig1

頭痛の性状としてはびまん性、後頭部、または前頭部であった。SIHmri2

73%では造影MRIで硬膜造影効果あり、35%で硬膜下水腫、43%で脳下垂があり、57%で静脈うっ滞,
48%で下垂体腫大があった。

脊髄硬膜外への髄液漏出は48%-76%と報告され、Myoelographyがもっともよく使用されていた。
髄液漏出部として最も多いのは41%胸部、次に頚胸椎移行部25%、頸部14%、腰部12%.SIHfig3

67%は低髄圧(60mmH2O)、32%は髄圧正常だった。
7-9週間にわたる保存的加療が一般的で28%では成功した。
Blood patchは保存的加療失敗例に用いられ、64%ではBlood patchにより症状改善した。20ml以上のBlood patchは小さいpatchより成功した。7-27.%は侵襲的処置をしても再発した。
SIHtable3

考察
女性が多め、様々な症状を呈する。驚くことに8%は起立性頭痛をおこさず、3%は頭痛すら起こさなかった。典型的な頭痛の性状は後頭葉、前頭葉またはびまん性である。MRIは最も感度が高く有用だが、19%では異常がないことを忘れてはいけない。脊髄MRI画像などは48%-67%しか髄液漏出部位を検出できなかった。Myelographyなら調べた中では、100%leak部位を検出できたが、報告が少ない(133名)。
本研究では髄圧正常が32%であり、低髄圧でなくともSIHを除外してはならないと示唆される。
髄液検査で得られる髄圧は、一時的な値で、起立時の髄圧を反映せず、時に手技が安定していないため、その値では判断できない。とはいえ髄液検査は感度67%。
以下割愛。


感想
3割は髄圧正常、思ったより多いですね。造影MRIをちゃんととっていきましょう。
意外と聴覚症状が多いのは、忘れてはいけないですね。


下畑先生がハンマーのお話をされておりました。


個人的に使用しているのは、このハンマーです。


なんといっても頑丈。
そして、ほかのものと比べても、ヘッドが少し重い。
検査者があまり力を入れなくてもいいのがいいです。
そしてなにより、かっこいいです、ね。





ひたすら脳波が並んでいて、ここが異常所見だ。と教えてくれます。
原理がどうこうというより、とりあえず数を読んで異常脳波とはこういうものなんだと、目を鳴らすための本だと思います。
非常にわかりやすいので、脳波に苦手意識がある方はぜひおためしください。

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